たかゆうの読書日記

本が好きです。読んだ本を中心に、映画・マンガ・テレビなどについても言及できればと思います。

【書評】『女帝 小池百合子』都知事選までに読んでおきたい1冊

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小池百合子都知事のカイロ生活時の同居人や親戚への周辺取材、またこれまでの雑誌や書籍からの記述で構成されています。

カイロ大学を首席で卒業したという学歴詐称疑惑の言及も興味深いのですが、これまでの政治家としての道のりを丹念にまとめているので、これだけでも価値があります。

本質としては、見栄を張って人を裏切り続けてきた政治家なのだということがわかります。それは時流を読める、ともいえますが、周りにとっては台風のような存在でしょう。いつ反旗を翻すか気が抜けない。

テレビ東京のキャスターから政治家へ転身。細川護熙小沢一郎小泉純一郎安倍晋三と近づく対象をよく見ているんですよね。だから何かを成し遂げたい!という信念がある政治家ではなく、上昇志向が強く、世渡りがうまい政治家という印象を持ちました。

詳しく見ていきましょう。

芦屋令嬢がカイロ大学卒業するまで

小池百合子は芦屋で産まれますが、父親は博打打ちのように政治にも絡んでいて、それほど裕福ではなかったようです。

そこからカイロ大学へ。首席で卒業したと経歴には記されていますが、学生数10万人でエジプト人でも4人に1人は留年するという難関校なんですね。

著者はカイロ時代に同居していた人物を突き止めます。彼女によると、いきなりペンキで部屋を黒く塗りたくった、家には慕ってくれる複数の男性がいた、アラビア語は拙かったようです。

そして、たまたま通うようになった語学学校の男性・山本と出会って2ヶ月で結婚。すぐに離婚してしまうのですが、山本がサウジで働くからという理由だが、そんなことはなかったようです。

父のつながりで、サダト夫人来日をアテンドしたことで、売り込みが始まります。カイロ大学を卒業を強調して、さまざまなメディアの男性スタッフからチャンスをもらうようになりました。日本テレビの番組でカイロにスタッフとして行ったときは、カダフィへのインタビューをしたと本人が語っていますが、詳細は分からず。

テレビでは竹村健一の番組アシスタントとして活躍。このころ、トルコ風呂を「ソープランド」という名前に変えるなどということもしています。

そしてテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」の女性キャスターとして起用されたました。東大助教授と付き合っていた時期があるが、去っていった。これが舛添要一です。

政界入りへ

細川護熙の新党入りへ。ミニスカート姿で国会議員になり、佐川急便事件が起こったときは「政治家総とっかえ」というワードも飛び出しました。キャッチフレーズを作るのがうまいんですね。

土井たか子との選挙戦になりましたが、同じ地区で父が負けていたという因縁がありました。比例で当選後、外務大臣になりたがったようですが、細川護熙とのズレが生じたようです。

細川政権は8ヶ月後に退陣。このとき小池百合子は細川おろしに加担しています。小沢一郎に近づき、自由党に参加するようになります。

ボクが永田町で嫌われるワケ、と参議院選挙でパフォーマンスを指示すると、「あなたはゲッベルスになれる」と小沢一郎小池百合子を評します。

阪神淡路大震災の被災者が陳情しに来たとき、マニキュア塗りながら「私選挙区変わったし」とそっけない態度で対応したという話もあるようです。

自自公が連立で与党に、このとき小沢一郎は離脱しています。すると小池百合子は今度は小沢批判へ。衆議院選挙で保守党として出馬します。ですが自民党が盤石になり、保守党の存在感がなくなると、すかさず自民党入り。環境大臣に就任することになりました。

環境大臣として

小泉純一郎郵政解散では、自分の選挙区を捨てて刺客として出馬。環境大臣としては「クールビズ」を打ち出したことが実績としては大きいでしょう。しかし水俣病アスベスト問題には向き合いませんでした。 

2006年9月に第一次安倍政権が立ち上がります。そのときは国家安全保障担当に、小泉サイドの進言だったと言われています。

日本版NSC国家安全保障会議)では、安倍、塩崎官房長官と対立。勝手に進行して決断しようとしていたようです。

安倍政権の大臣の失言が続いたことで、小池百合子防衛大臣に。就任会見で「明日何を着て行こうか」と悩んでいたというのはらしいといえばらしいのでしょうか。

沖縄普天間問題でも大した対応はできませんでした。小池百合子は、辺野古で浅瀬埋め立て案を支持。政財界は土建業が潤うとしたが、サンゴが破壊されるデメリットがあるため、辺野古V字案を守屋や小泉は支持。安倍政権が瀕死になったときには、マスコミリークして守屋を辞めさせることに成功します。マスコミの使い方がうまい。

そして、自民総裁選に出馬。麻生総理が誕生しますが、政権が揺れに揺れて、民主党が圧勝して政権交代が実現してしまいます。

その後の自民総裁選では石破側につくが、安倍が圧勝。第二次安倍政権では冷遇されているのはこれが理由なわけです。

都知事への道

安倍政権では、テレビ朝日の元アナウンサーで中国・韓国叩きをした丸川珠代、弁護士時代に南京大虐殺をめぐる裁判に携わった稲田朋美神武天皇は存在すると主張する三原じゅん子が周りにいました。

親族といわれている謎の秘書・水田昌宏の存在も目立ってきます。

東京都知事の可能性が出てきます。都知事のこれまでを振り返ってみると…

そして小池百合子が登場。自民党から推薦が難しいとわかると、記者会見を開いて、自民党都連を敵にして民衆を味方につけていきました。

石原慎太郎自民党推薦候補の決起会に登場し、「厚化粧の女」発言。これを受けて小池百合子は、自分の右頬にあざがあることをテレビでカミングアウトしました。

これまで嘘でのし上がってきたものの、ここで武器にしたのは事実を切り札にしたのです。

「彼女はこの瞬間に都知事となった」

そして復讐へ

豊洲移転に待ったをかけました。汚染があると、石原慎太郎の責任を追求します。そして証人喚問まで至りますが、ここで誤算が。石原慎太郎が老いている状態だったのです。

築地の人たちは小池百合子に期待したが、結局は「ジャンヌ・ダルクは火あぶりになるからイヤ」と二枚舌でしかなかったわけです。

そして「都民ファーストの会」で都議会を制して、さらに「国民ファーストの会」あらため「希望の党」をぶち上げます。安倍晋三への復讐といえるでしょう。

だが、ここで失速してしまいます。民進党合流を「排除いたします」と思想と合致しない議員を受け入れない方針を出したことで、潮目が変わりました。

都知事選はどうなるのか

政治家として大義名分がある行動をそれほどとっていないことがわかります。しかしパフォーマンスが圧倒的にうまい。このあたりをどう評価するか。いずれにしても、読んでおいて損のない内容だと感じました。