たかゆうの読書日記

本が好きです。読んだ本を中心に、映画・マンガ・テレビなどについても言及できればと思います。

『革命のファンファーレ』時代の寵児の広告戦略とは?

キングコング西野亮廣のビジネス書第2弾! 今回は広告について。

ぼくは西野は時代の寵児だと思っていて、コンテンツ制作においてこの人の動向をスルーしてはいけない。ホント学べるところが多い。

これは前作『魔法のコンパス』でも感じたこと。

lee578.hatenablog.com

情報革命が起こった現代において、さまざまなことを身を張ってトライしている。どうしたら成功するのか、どうしたら失敗するのか、考える材料になる。

というわけで、『革命のファンファーレ』の魅力をまとめていきます。

ざっくり3行でまとめると…

  1. 情報革命が起こったわけで広告戦略も変えないといけない
  2. 絵本を無料化して成功したのは母親の認知を狙ったから
  3. 著作権フリーにして1億人に知ってもらうと価値が出てその先の展開ができる

「人気タレント」と「認知タレント」の違い

まずは時代の流れを整理してくれます。情報革命により、広告の仕方も変わってきている。

未来はとっくに来ていて、走るコースも、乗り物も大きく変わった。そのことを包み隠さずお話しする。

事例として「人気タレント」と「認知タレント」の違いを出していて、これが分かりやすい。

「人気タレント」はファンがいる人たち。一方で「認知タレント」はテレビでよく見るけど、ファンはいないという人たち。「認知タレント」は信用がないからファンもいないんですね。

タレントとして信用を勝ち取るために、まずは「嘘をつかない」ということを徹底した。自分の意思を明確に表明するということだ。

このあたりものすごく意図的に考えていて、「信用通帳」なるものを記録しているそうです。いま信用がどれくらいあって、今月はどれくらい信用を使えるかを考えている。

そもそもお金とは信用を数値化したものであり、この感覚はすごいなぁと。信用があれば、クラウドファンディングなどでお金を集めることができるし、テレビだけを主戦場としないこともできる。

この本には著者のこれまでの体験がてんこ盛りなわけですが、たとえば独演会を2000円と安めに設定した。それによって信用値を上げて、クラウドファンディングを展開するという方法を駆使しているそうです。

インターネットにより、すべてのものがガラス張りになった今、お客さんの値段感覚は極めて正確だ。

独演会の内容を体感すれば、2000円だと安いということは分かる。お金よりも、信用を貯めることを選んでいるわけです。

絵本を「無料化」するべき理由

絵本『えんとつ町のプペル』を無償で公開。クリエイターを中心に賛否両論が巻き起こりましたが、かなり戦略を練って展開していたことが分かります。

絵本が無料化と相性が良いと判断した理由を本書からまとめてみましょう。

  • 親子で読み聞かせするには本がいい(ネット無料化のときは縦ページで絵本を並べて読み聞かせしにくくした)
  • 親は絵本をすでに知っている内容から選んで買い与える。ネタバレがスタートラインになっている。
  • 時間のない中でネットでの無料で読んでもらうことで、知ってもらう

こうなると無料化はメリットしかないと感じられますよね。

これゲリラ的にやっていて、出版社側の最終的なオッケーは待っていないとのこと。雑誌「編集会議」(2017年11月号)では、編集者側のインタビューが掲載されていて、このときのてんやわんやが分かります。

ある日、西野さんから電話がかかってきて、「袖山さん、僕、プペルを全文無料公開したいんです!全データください!」って言われまして。心の中では「えーーっ!」って言いました(笑)。でも経験上、ここで考えたり悩んだりしても意味がないんです。とりあえず「わかりました!」と返事して、全データを用意して、全データを送って…。送ったあとは内心ビクビクですよ。

営業や社長に伝えたのは無料公開のあと。だけどたちまち反響があって売れ始めたことで全面肯定されたそうです。担当者としては背筋が凍る話ですけどね…

現代人の動きを予測する

現代でモノを売るために現代人の動きを予測することが大事。著者は以下のことなどを考えて仕掛けを練りこんでいくそうで、ユーザーに向き合ってるんだなと思います。

  • どこで寝泊まりしているか?
  • 何にお金を使っているのか?
  • 1日のスケジュールは?
  • 1日に何時間スマホを見ているのか?
  • どこでスマホを見ているのか?
  • スマホを使う際に親指はどの方向を動かしているのか? 目はどの方向を見ているのか?

これはいろいろと応用できそうですね。

著作権をフリーにした理由

あとおもしろかったのは、著作権の考え方。

滋賀のプペルをラッピングした電車や、演劇やらクリアファイルやら、そこで著作権料はとらない主義なんですね。

それは、絵本を1人でも多くの人に手に取ってもらいたいから。そのゴールに向かって、宣伝にもなるという捉え方です。

ここにもネットの革命により変化があって、周りの人が10人単位から1億人単位になったことを理由に挙げています。

ネットで繋がっていない時代、周りが10人だとする。10人に無料で配布したら食べていけない。それが1億人になった。1億人に知ってもらったものは、次の展開がある。スポンサーがそのキャラを使ってくれるかもしれない。講演会や書籍化の話が来るかもしれない。

つまり1億人が使っているという価値=信用が生まれるわけですね。著作権の必要度は人口に左右されるというのは、面白いなと。

おすすめ度7 ☆☆☆☆☆☆☆★★★

『魔法のコンパス』未読ならおすすめ度8! 『魔法のコンパス』との重複があるものの、お金と広告戦略に特化したことと、最新の動向まで網羅されていて、より実用性が増しています。