たかゆうの読書日記

本が好きです。読んだ本を中心に、映画・マンガ・テレビなどについても言及できればと思います。

【渋沢栄一】おすすめ本・小説・漫画15選!大河ドラマ・論語と算盤を深く学ぶために

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大河ドラマ『青天を衝け』で注目を集める日本資本主義の父・渋沢栄一。2024年には、1万円札の図柄に渋沢栄一が採用されます。

そんな渋沢栄一について学ぶための本・小説を、以下の3つに分けて一気に紹介していきます!

  • 渋沢栄一の論語と算盤を読む
  • 渋沢栄一の小説を読む
  • 渋沢栄一の人生・思考を知る

www.nhk.or.jp

『論語と算盤』についてはさらに詳しく以下の記事にてまとめています!

lee578.hatenablog.com

論語と算盤を読む

『論語と算盤』は、渋沢栄一の講演を口述筆記でまとめた本。内容として押さえるべきは2つ、利益追求するには道義を伴わないといけない、自分より他人を優先して公益を第一にすべき、といった点。 原書に近いものから現代語訳、解説編まで、『論語と算盤』を学べる本を紹介します。

『論語と算盤』

しっかりと渋沢栄一の思考を学びたいなら、角川ソフィア文庫の『論語と算盤』で間違いないでしょう。原文を 現代漢字新かなづかいに変えているので、思っているより読みやすいです。渋沢自身が読者に語りかけてくるような感じがします。

『現代語訳 論語と算盤』

ものすごく分かりやすい!渋沢栄一が語った『論語と算盤』のエッセンスを知りたいなら、まず手にとってみていい1冊になっています。原著は若干、固めの表現があるので、本書は平易な表現にしてくれているので驚くほど読みやすい。著者の守屋淳さんは「渋沢栄一に中学生でも気軽に会いに行けるように」ことを目指したといいます。絶妙な現代語訳になっていると思います。

『超約版 論語と算盤』

渋沢栄一の言葉を抜粋しながら、その言葉を解説していきます。超約なわけで、かなりはしょっている感じがしますが、手軽に『論語と算盤』について知りたいなら、手にとってみてもいいのではないでしょうか。『論語と算盤』について概要を掴みたい方におすすめです。

『図解 渋沢栄一と「論語と算盤」』

かなり丁寧な作り。『論語と算盤』について図解を入れて分かりやすく解説しています。さらに本書は、 渋沢栄一の経歴、『論語と算盤』解説、渋沢栄一の関連人物紹介、といった三部構成となっています。渋沢栄一の生涯や、西郷隆盛や岩崎弥太郎といった関連人物にも触れているので、渋沢栄一を多角的に理解できるんですね。著者は明治大学文学部教授の齋藤孝さん。

『あらすじ論語と算盤』

『論語と算盤』を56のテーマに分けて、400字あらすじで解説しています。イラストも入っているのも読みやすさがアップするポイント。渋沢栄一の玄孫で実業家の渋澤健さんが監修しているので、内容に間違いはありません。

『こども論語とそろばん』

子供向けの解説本。イラスト付きで『論語と算盤』の原文を一部抜粋して、平易な言葉で紹介していきます。例えば、「論語と算盤は、甚だ遠くして近いものである」という渋沢栄一の言葉を、本書では「お金持ちになれるのは信用できる人」といったようなテーマで、子供に語りかけるように解説します。

個人的には、「智、情、意の三者が各々権衡を保ち、平等に発達したものが完全の常識だろうと考える」について、「何かを決めるのに重要なのは知識、気持ち、やる気だよ」といったようにやわらかく伝えているところはおもしろいと感じました。

『まんが 超訳「論語と算盤」』

『論語と算盤』をマンガ化!「逆境の会社員が、現代の渋沢栄一に『論語と算盤』を学んだらどうなるのか?」という問いから脚本を組み立てています。今の時代の状況で共感しやすい流れで、かなりよくできていて、しかも制作陣が豪華。解説は渋沢栄一の玄孫にあたる渋澤健さん、監修は『現代語訳 論語と算盤』の守屋淳さん、マンガはミリオンセラー『ユダヤ人大富豪の教え』の今谷鉄柱さん。

渋沢栄一の小説を読む

かなり著名な作家が渋沢栄一を扱っていますので、読み応えがあるものがそろっています。

『雄気堂々』城山三郎

経済小説の大家といってもいい城山三郎が、生き生きとした渋沢栄一を描いていきます。冒頭は、日本橋常盤橋公園の渋沢栄一像のエピソードから始まるんですね。渋沢栄一は銅像をつくるという話が出るたびに、「雨ざらしにされるのはごめんだね」と断っていたそうです。徳川慶喜や西郷隆盛との交流もおもしろく、人柄が伝わってきます。著者によるあとがきも情緒的。渋沢栄一の生涯を「日本という国の青春が生まれていく物語」だとしています。

『小説 渋沢栄一』津本陽 

かなり詳細に渋沢栄一の経歴をなぞっていきます。 たとえば渋沢栄一の幼少期の読書遍歴が、『小学』『四書』『五経』『史記』『漢書』『十八史略』など克明に記されているんですね。上巻では幕末から明治への混乱期が舞台。下巻では経済人としての渋沢栄一にフォーカスが当てられていて、読み応えありです。

『渋沢栄一 人間の礎』童門冬二

全1冊で渋沢栄一を知ることができます。物語で渋沢栄一のことを知りたいなら、サクッと読めておすすめです!

実業界に進出する前までの渋沢栄一が描かれるのですが、なぜなら実業人としてのポリシーに迫りたかったからだそうです。徳川慶喜に「徳川幕府がつぶれても、徳川本家が存続すればいいのではないか」といった大胆な提案をするなど、本質をとらえる力があったことが伺えます。武士道・士魂の精神を植えつけたのが、父と一族の尾高惇忠。日本は有道の国を目指すべきといった渋沢栄一の思想に影響を与えたようです。

渋沢栄一の人生・思考を知る

渋沢栄一は幕末から近代まで活躍しているだけに、かなり波乱万丈な人生を歩んでいます。 尊王攘夷運動に加わっていた幕末を経て、徳川慶喜に仕えた時期があり、大政奉還が行われる。そこから大蔵官僚になり、実業家として600社近くの会社に関わる。もう激動ですよね。 渋沢栄一の人生を知るための本を、自伝も含めてまとめてみました。

『雨夜譚』

渋沢栄一自身による自叙伝。文体の古さはあるものの、読んでいると渋沢栄一の生の声を聴けるような感覚があります。渋沢栄一が私心ではなく社会貢献を第一に考えて行動していたことがわかる内容。

『現代語訳 渋沢栄一自伝』

現代語訳で渋沢栄一の自伝を読み解きます。『雨夜譚』『青淵回顧録』を軸にしながら、渋沢栄一のさまざまな資料で補填して構成されています。

『渋沢栄一 100の訓言』

渋沢栄一の言葉から生き方を知ることができます。「満足は衰退の第一歩である」「『他人をも利すること』を考えよう」「緻密すぎる教育は、鉢植えの木のような人を増やす」と言葉を解説しています。

『渋沢栄一伝』幸田露伴

時代背景を含めて渋沢栄一の生涯を追っていきます。人はだれでも時代の人である、として、渋沢栄一は「時代によって造り出されたもの」と指摘しています。

『渋沢栄一 上 算盤編』『渋沢栄一 下 論語篇』鹿島茂

かなりの力作で、フランス文学に精通した著者ならではの視点で、渋沢栄一の本質に迫ります。特に渋沢栄一がパリ万博に随行したときに知ったサンシモン主義がかなり思想の影響があると分析しているのはおもしろい視点です。またサンシモン主義を伝えた銀行家であるフリュリ・エラールと、渋沢栄一のつながりも記されています。フランスへ渡った経験が、のちの渋沢栄一が活躍する礎を作ったことが分かります。

現在の日本の礎を作った人物

渋沢栄一は資本主義の弱点を見抜いていて、『論語と算盤』が提唱する考え方は、今まさに活用されるべきだと思います。

経済活動しながら何を求めて、どう進めばいいのか。迷いが生じる現代だからこそ、渋沢栄一の思想が心に響いてくるのです。