わずか6年間だけ存在した史上最強の剣客集団、それが新選組です。
幕末のあの混沌とした時代を駆け抜けた新選組には、ドラマがあります。近藤勇や土方歳三、沖田総司、永倉新八、斎藤一など、隊士もキャラクターが濃いのも魅力ですよね。
新選組をテーマにした本がたくさんあるなかで、おすすめ小説・おすすめ本・おすすめマンガを紹介していきたいと思います!
2024年春からドラマ『君とゆきて咲く〜新選組青春録〜』が放送されます。原作になる手塚治虫の『新選組』は、「新選組おすすめマンガ」で紹介しています!
新選組おすすめ小説
新選組を扱った小説は、司馬遼太郎をはじめ、人気の歴史小説家が手掛けています。
『燃えよ剣』司馬遼太郎
まず伝えたいのですが、むちゃくちゃおもしろいです!
新選組副長である土方歳三の生涯を描きます。とにかく土方歳三が魅力あって、あっという間に読めてしまう。
司馬遼太郎のエンタメ寄りの代表作に『竜馬がゆく』『国盗り物語』がありますが、本作はまさにこの系譜です。
冒頭からして土方歳三が、六車という剣客と斬り合いをし、七里研之助に追われる展開に。グッとつかまれてしまうと思います。
その後も組織作りに長けた土方歳三が、近藤勇をたてながら、新選組を幕末最強軍団にしていく。血なまぐさい雰囲気を漂わせながら、新選組のはじまりから終わりまでをじっくり描きます。
本作は岡田准一が主演で、2021年に映画が公開されます。
『新選組血風録』司馬遼太郎
こちらも司馬遼太郎作品。連作短編集なのでかなり読みやすい。
15編の短編があり、新選組にまつわるさまざまな人物にフォーカスが当たります。
「芹沢鴨の暗殺」「沖田総司の恋」あたりは読み応えありでおすすめ!
なお本作の「前髪の惣三郎」「三条磧乱刃」は、大島渚の映画『御法度』の原作です。
『壬生義士伝』浅田次郎
泣ける新選組といえば本作でしょう。
吉村貫一郎という1人の新選組隊士を軸にして物語は展開していきます。さまざまな証言から、近藤勇や土方歳三、沖田総司、斎藤一が登場してくるので、新選組の隊士が存在していたことを実感させてくれます。
吉村貫一郎の飄々とした性格でありながら、剣術の巧みさのある人物像に惹きつけられます。魅力あるんですよね。そして家族を思う吉村貫一郎の生き様に涙してしまう。
本作は映画化もされて、第7回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞しています。
『黒龍の柩』北方謙三
北方版新選組!
池田屋事件から物語ははじまります。話は壮大で、土方歳三が坂本龍馬などの影響を受けて、独立国家設立を目指すという展開を見せます。
個人的に熱いのは、山南敬助と土方歳三の友情関係。この2人は対立している設定が多いのですが、本作では信頼しあっていて新選組の行く末を相談する仲になっています。山南の死もグッときます。
北方謙三だけに、男たちの死に様はさすがの描写です。
『幕末新選組』池波正太郎
新選組小説としては珍しく、永倉新八が主人公。池波正太郎が描くだけあって、まぁおもしろいです。真っ直ぐな気質を持った永倉新八から、新選組がどう捉えていたのかが、見えてきます。
『新選組始末記』子母澤寛
小説ではあるものの、関係者への取材なども行ってまとめていく構成になっています。司馬遼太郎も影響を受けたというくらい新選組についての情報量が濃密で、新選組を語るには手に取っておくべき作品。文庫では3部作になっています。
『新選組 幕末の青嵐』木内昇
短編集ではあるものの、流れるようにさまざまな人物の視点に切り替わっていき、一つの大河ドラマを味わうことができます。
新選組おすすめ本
ここからは、新選組にまつわる本を紹介。時代が近いだけに証言が多く残っているんですね。証言録、入門書を含めた本を紹介していきます。
『新撰組顛末記』永倉新八
新選組二番隊長であった永倉新八が綴っているのが本書です。池田屋事件の証言は息が詰まりますし、生々しい。
実際の隊士による証言なので、新選組を知る学ぶには、必読といえます。
『新選組証言録』
新選組について当時の人たちの生の声がまとまっています。『史談会速記録』という明治22年から関係者への聞き取りをまとめた資料がベースになっています。
近藤勇は未熟なおべっか者だった。芹沢鴨は尊王意識が強かった。原田左之助は変わり者で美男だった。こんな証言が出てきます。
そして元隊士による新選組で誰が一番腕が立ったかについては、永倉新八、沖田総司、斎藤一の順という証言も。証言者の立場によって、新選組がただの山賊だったり、義を重んじたとなったり、評価が別れるのもおもしろいです。
『マンガ 面白いほどよくわかる! 新選組』
新選組の歴史を知るにはおすすめの入門書!マンガと文章で解説してくれるので、かなりわかりやすいです。ビジュアルで把握できると理解度が変わりますよね。年表も貴重です。
新選組おすすめマンガ
新選組をテーマにしたマンガはたくさんあります!史実に沿ったもの、史実から飛躍したものがありますので、それぞれ紹介していきます。
『新選組』手塚治虫
深草丘十郎は、新選組へ入隊する。近藤勇、沖田総司、坂本龍馬などと出会い、成長していく物語。
深草丘十郎は、父のかたきをさがすオリジナルキャラ。その視点から、新選組を見ていくのが新鮮です!
『新選組血風録』マンガ版
司馬遼太郎の『新選組血風録』のマンガは絶対におすすめしたいです!
マンガを担当するのは、森秀樹。『墨攻』『ムカデ戦記』といった骨太な作品を描いているだけに、本作も読み応えがあります。
『壬生義士伝』マンガ版
こちらも小説のマンガ化。ながやす巧だけに絵柄が本当にすばらしいです。幕末の時代感が絵柄からも伝わってきます!
『賊軍 土方歳三』
史実寄りで、新選組を描いています。
ただしフォーカスするのは、新選組が京都を追われて、賊軍となった後。新選組の悲哀とそれでも突き進む土方歳三のカッコよさがあります。土方歳三や沖田総司の洋装姿もいいです。
『アサギロ~浅葱狼~』
沖田総司を幼少期から描きます。
沖田総司がちょっと変人な雰囲気で、これまでとは違うようなキャラクターなのがこれまた新鮮。もちろん新選組おなじみのメンバーも登場します。
『ちるらん』
イケメン集団として新選組を描いています。
フィクションとしてのおもしろさを突き詰めるならおすすめです!史実と照らし合わせてもいいでしょう。
『ゴールデンカムイ』
メインはアイヌ民族含めた金塊強奪ですが、新選組の生き残りとして、土方歳三や永倉新八が登場します。この2人は高齢なのに、渋いカッコいい!
土方歳三は、王国建国を夢見ていて、年老いても血気盛ん。ところどころ、史実ネタを織り交ぜているのも魅力です。ゴールデンカムイは総じて歴史資料の読み込みがすごいんですよね。
『風光る』
家族を殺された少女が、男のふりをして新選組に入隊。倒幕派の仇を討つために、真の武士の道を目指していきます。
脱走を考えたり、沖田総司に恋したりということも起こります。新選組入門としてもおすすめですね。
『太陽を堕とした男』
長州藩側から新選組を描いています。だからこそ新選組の恐ろしさ、不気味さを感じられて、この設定がおもしろかったです。1巻完結なので、ぜひ手にとってほしい。
『壬生狼ヤングゼネレーション』
新選組の「隊中美男五人衆」の日常をコミカルに描いた作品。
実在しているもののマイナー隊士の視点だからこそ、新選組が身近に感じられる設定になっています。芹沢鴨暗殺など、新選組の暗部が史実と絡めて描かれるの魅力です。
『ひなたの狼―新選組綺談』
これが土方歳三!?と思えるくらい、女性的でしなやかさがある人物になっています。
沖田総司、原田左之助のイメージも新鮮です。
ただ新選組の骨太さがないわけではなく、新選組好きな作者だからこその愛が伝わります。
新選組の生き様に熱くなる
新選組は、どう見るかでまったく違う面が見えてきます。尊皇攘夷の自警団として残酷な面や、新選組のなかで粛清が行われ恐ろしい面がある。一方で、純粋に武士として生きようとして、時代に翻弄されたと見ることもできるわけです。
それだけ語りがいがあるのが新選組の魅力に、小説や本を読むことで、グッと迫ってほしいと思います。