たかゆうの読書日記

本が好きです。読んだ本を中心に、映画・マンガ・テレビなどについても言及できればと思います。

【最新】伊坂幸太郎おすすめ17選!最高傑作はどれ?個人的ベストも紹介

『777 トリプルセブン』が刊行!

伊坂幸太郎の殺し屋シリーズ『777 トリプルセブン』が、2023年9月21日に発売されました。殺し屋シリーズは、クセのあるさまざまな殺し屋が登場します。

作品としては、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』があります。

『777 トリプルセブン』は、「天道虫」と呼ばれる殺し屋が主人公。超高級ホテルの一室にプレゼントを届けるという仕事を依頼されるのですが…。「天道虫」は『マリアビートル』に登場していて、ゆるやかなつながりがあります。

やることなすことすべてうまくいかない。ハラハラドキドキする展開が待っています!

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伊坂幸太郎の魅力とは?

新刊が出るたびに話題になる伊坂幸太郎。エンタメ性がありながら、力強いメッセージを感じる作風で、人気を集めています。

伊坂幸太郎は一時期、猛烈にハマっていました。ドンデン返しやユーモアのあるキャラクターなどさまざまな魅力がありますが、自分にとっては同時代の問題意識を持っていることで、信頼できる作家だと思っています。

これまで読んだ伊坂幸太郎作品のなかから個人的ベスト5と、おすすめ作品を紹介したいと思います!

伊坂幸太郎 個人的ベスト5!最高傑作は? 

ものすごく思い入れのある伊坂幸太郎の個人的ベスト5を紹介します。どれも最高傑作といえるくらい好きな作品です。

1位『重力ピエロ』

おすすめ度10 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

連続放火事件が起こっている仙台の街に、泉水と春の2人の兄弟が謎を追っていく。

「春が2階から落ちてきた」。印象的な1文からはじまる傑作長編です。春はどんなものにも縛られずに生きているように見えて、実は大きな闇を抱え、がんじがらめになっている人物。

春の気持ちをすべて理解はできないかもしれません。母親がレイプされたときの子どもという宿命。それは、あまりに重すぎます…。春は悪を許さないが、悪によって産み落とされたのだと、常に矛盾を抱えて生きています。重厚さのある作品で、この兄弟のことが強く心に残ります。

2位『ペッパーズ・ゴースト』

おすすめ度10 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

他人の未来が少しだけ見える中学校の国語教師・檀と、女子生徒が書いている不思議な小説原稿。いつの間にか現実と小説の世界が入り混じって、檀は爆破テロに巻き込まれていく…。

小説内のネコジゴハンターの2人がいい味出しています。物騒なのに猫好き。ロシアンブルは悲観的で、アメショーとのコンビがいいんですよね。

現実と小説の交錯はスリリングで、そこにニーチェの永遠回帰が関連してきて、展開が気になってどんどん読み進めてしまいます。

あきらめずに現実に立ち向かう。伊坂幸太郎が作家として一貫したテーマを感じられる作品。読みごたえあり!

3位『魔王』

おすすめ度10 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ある日、自分が念じた通りの言葉を相手に喋らせる「腹話術」の能力を身につけた安藤。首相に上りつめた犬養がファシズム政治によって支持を集めるなか、安藤が立ち向かう。

腹話術、かなりショボい能力で、少ししか事態を動かせないんですね。安藤は悩みながらどう行動すべきか思考する。その姿に胸打たれてしまうわけです。「考えろ考えろ」。安藤が何度も自分に言い聞かせるのですが、それは読者にも突きつけられてきます。

*魔王のような大きな力に立ち向かう勇気はあるのか。**生き方を問われる作品です!

4位『グラスホッパー』

おすすめ度9 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★

妻を殺した男へ復讐しようとする鈴木は、目の前でその男が車に轢かれるところを目撃する。どうやら「押し屋」という殺し屋のしわざだとわかり、鈴木は押し屋を追うのだが…

殺し屋シリーズは『マリアビートル』『AX』も好きなのですが、衝撃度が一番だった本作をおすすめしたいです!冒頭から目まぐるしい展開で、行き着く暇もなく一気読みした記憶があります。

押し屋が魅力的なキャラクターで、ほかにも相手を自殺させる「鯨」、ナイフ使いこなす「蝉」という殺し屋が絡んできて、事態は複雑さを増していきます。

そして、ラストにも驚きの展開が!伊坂幸太郎のユーモアとシビアさ、どんでん返しの妙が楽しめます!

5位『チルドレン』

おすすめ度9 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆★

家裁調査官の陣内と友人の鴨居が、銀行強盗の人質となり、盲目の永瀬から事件の推理を聞かされる「バンク」をはじめとした連作短編集。

とにかく陣内が魅力的!世間の常識から飛び越えた感覚を持っていて痛快。だけど、自分の仕事に誇りを持っている。

家裁調査官を目指すころ、ベテランになったころといったように、時間軸は変われど、陣内の生き方に魅了されるはずです!

伊坂幸太郎 おすすめ作品

『逆ソクラテス』

おすすめ度8 ☆☆☆☆☆☆☆☆★★

5つの作品で構成される短編集。それぞれ独立した内容であるものの、小学校時代の答えのない問題が突きつけられます。表題作の『逆ソクラテス』は、先入観で人を決めつける担任の久留米先生に対して、さまざまな仕掛けをこらす。

冒頭にプロ野球選手の少し不思議な仕草が提示されるのですが、その意味を知るとき、胸が震えて拳をつきあげたくなりました。

各作品がゆるやかにリンクしているのも見どころ!

『777 トリプルセブン』

おすすめ度8 ☆☆☆☆☆☆☆☆★★

殺し屋シリーズ4作目。世の中にかんたんな仕事なんてないのではないか?やることなすこと上手くいかない殺し屋「天とう虫」が主人公になります。

超高級ホテルでのシンプルな任務なのに…。ホテルという限られた空間で、ハラハラする展開を見せてくれます!

『AX』

おすすめ度8 ☆☆☆☆☆☆☆☆★★

「兜」は超一流の殺し屋でありながら、家では恐妻家という二面性のある人物。兜はそろそろこの仕事を辞めたいと思っているのだが…。

連作短編で前半は殺し屋シリーズらしく、緊張感とユーモアあふれる内容になっています。そして後半の書き下ろし2作が、もう切なくも感動できる展開になっていて、ぜひぜひ読んでほしいです。

『アヒルと鴨のコインロッカー』

おすすめ度8 ☆☆☆☆☆☆☆☆★★

大学に入学したての主人公がアパート隣人の河崎に書店強盗を持ちかけられる。恋人を失って塞ぎ込んでいる外国人にプレゼントするための『広辞苑』がその狙いだ。いったいなんでそんなことを? 

2年前と現在をクロスしながらストーリーは進行し、登場人物たちの不可解な行動を巡って、積もり積もった「なぜ?」は一気に氷解していきます!

無駄な会話が一切ない。すべてが過去と現在につながっているのです。ちゃんとした理由と偶然によって、主人公が介在していくのも気持ちいい。

『モダンタイムス』

おすすめ度8 ☆☆☆☆☆☆☆☆★★

システムエンジニアな渡辺は、ある日見知らぬ男に襲撃される。殺し屋と思われる男は「勇気はあるか」と渡辺に問いかける。渡辺の妻にこの男は雇われたようなのだが…。

『魔王』から50年後が舞台で、成人男性の徴兵、ネットでの監視など、管理が進んだ社会になっている。ともかく展開が早くて疾走感があります!

漫画誌『モーニング』に連載されていたのを毎週読んでいて、伊坂幸太郎は同時代の問題意識を持った作家だと感じていて、とても思い入れのある作品です!

『ラッシュライフ』

おすすめ度7 ☆☆☆☆☆☆☆★★★

さまざまなストーリーが絡み合う群像ミステリー。泥棒の黒澤、画家の志奈子、父を自殺で失った河原崎などの人生が交錯していく。

一見すると関係のない話がパチンとつながっていき、パズルがカチっとハマるような快感を味わえます!

1ページ読んだらその次を読む、といった本の読み方の常識すら、ガラガラと崩れ去る。新宿駅で路線図を見たときに、発想したそう。

あとキャラクターとしては黒澤のセリフがグサッと刺さります。

「人生については誰もがアマチュアなんだよ。誰だって初参加なんだ。人生にプロフェッショナルがいるわけがない。全員がアマチュアで、新人だ」

『マリアビートル』

おすすめ度7 ☆☆☆☆☆☆☆★★★

新幹線という隔離された場所で、殺し屋たちが遭遇する。登場するのは、アルコール中毒の元殺し屋「木村」。ずる賢い中学生「王子」。腕利きの二人組「蜜柑」「檸檬」。運の悪い殺し屋「七尾」。

いや目まぐるしい展開で、かなり好きな作品です。不運の七尾と、幸運の王子との戦いでもあったわけで、そのあたりは巧みさを感じました。

さらにブラッド・ピット主演で、『ブレット・トレイン』とタイトルを変えて映画化。2022年公開となります。

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『ゴールデンスランバー』

おすすめ度7 ☆☆☆☆☆☆☆★★★

仙台で総理大臣の暗殺事件が起こる。路上パレードでラジコンヘリが爆発する。

犯人の濡れ衣を着せられた青柳の逃走劇。友人の森田から「おまえオズワルドにされるぞ」と、ケネディ大統領の暗殺事件が持ち出されます。

エンタメ全開の疾走感のある傑作!

『首折り男のための協奏曲』

おすすめ度7 ☆☆☆☆☆☆☆★★★

それぞれゆるく関連性はあるものの、単独の短編集。表題作の『首折り男のための協奏曲』は秀逸!

連続殺人犯の首折り男ってのが、またいそうでいない感じがよかったです。そして首折り男と瓜二つの気の弱い男が、間違われて話が転がっていくのも読ませます。

『ホワイトラビット』

おすすめ度7 ☆☆☆☆☆☆☆★★★

白兎事件が発生。いくつも誘拐事件を起こした兎田が、親子を人質に立て篭もる。オリオン座の神秘を語る折尾、何でも屋の黒澤、SITの課長である夏之目によって、事件は複雑に絡み合った展開を見せていく…。

前半は登場人物が多く、時系列が前後するため読みづらさがあるものの、後半はジェットコースターです!何重もの仕掛けが施されて、伊坂幸太郎らしさ全開。人気キャラの黒澤が登場するのもうれしいポイント。

籠城もの、人質立てこもり事件の決定版として、伊坂幸太郎が取り組んだ作品。

『フーガはユーガ』

おすすめ度6 ☆☆☆☆☆☆★★★★

双子の風我と優我は、父から虐待を受けていた。ある日、彼らに特別な能力が発動して…。

登場する人物の境遇がかなり辛いものの、それでも風我と優我は、この人生をあきらめないという姿勢が示してくれる。尊いなと感じました。

テレビ屋が双子を取材しようとするという冒頭の設定も読ませます!

『砂漠』

おすすめ度6 ☆☆☆☆☆☆★★★★

舞台となるのは東北にある大学。北村、西嶋、鳥井、南、東堂の5人の大学生活を描く。

ただの学生物語ではなくて、5人が合コン、麻雀に興じながら、脅迫事件や通り魔と遭遇していきます。青春の甘酸っぱさがありながらサスペンスでもあり、伊坂幸太郎しか出せない世界を描き出してくれます!

伊坂幸太郎は進化していく作家

伊坂幸太郎は時期によって意図的に変化していく作家です。『ゴールデンスランバー』から物語として完結していない作品にも挑戦。だけど、登場人物の心境は大きな変化を及ぼして、きれいに閉じられているから読後感がいいんですね。 またミステリー作家ともいえますが、ロジカルな内容ではなく、偶然性が積み重なって奇妙なことが起こる展開が特徴。これが伊坂幸太郎の独特の世界観を生み出しているだと思っています。

とにかく一度ハマるとクセになるので、ぜひ気になる作品を手にとってほしいです!

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