『安倍晋三 回顧録』 が大きな話題になっています。
安倍政権とは何だったのか?さまざまな関連本が出ていきます。森友学園問題を中心に、加計問題や桜を見る会問題について知ることができる本を読んでみましたので、それぞれ内容を紹介していきます。
安倍晋三に関係する本
『安倍晋三 回顧録』
安倍元首相の肉声が詰め込まれた本。計18回、36時間にわたる未公開インタビューで構成されています。びっくりするくらいおもしろい。安倍さんがその場で話しているかのような臨場感があります。
かなりざっくばらんと話していることがわかっていて、嫌なこともしっかり回答している印象。新型コロナや検察庁改正案、特定秘密保護法、森友家計学園についても言及しています。
全体的に官僚不信は感じていて、財務省や総務省、厚労省へチクリと言及している場面も多いです。そういった意味では、安倍さんの本質が見えてくるのと同時に、日本政治の内側のチグハグさを感じる内容になっています。
『安倍晋三 回顧録 公式副読本』
『安倍晋三 回顧録』の登場人物たちからどう見えたのか?安倍政権中枢の極秘メモ「谷内正太郎 覚書」の全貌がわかるなど、かなり補完してくれる内容になっています。
小池百合子や石破茂からの言及は、まぁ読んでおいて損はないです。
『安倍三代』青木理
安倍元首相の父方のルーツをたどったルポとなります。
祖父・寛は、戦時中に反戦を主張していました。父・晋太郎は、リベラル保守の政治家でした。そして安倍晋三の実像に迫ろうとしていきます。
読み応えたっぷりの一冊です。
森友学園問題に関係する本
森友学園問題に関係する本をまとめていきます。
『新聞記者』望月衣塑子
2017年6月、菅官房長官へ次々と質問をした新聞記者がいました。それが東京新聞の望月衣塑子記者です。
ドラマ『新聞記者』、映画『新聞記者』の原作というよりは、本書は望月衣塑子さんの自伝的な内容になります。
ドラマ、映画の原作だと思って読むと、拍子抜けするかもしれませんが、森友学園問題についての章も用意されています。
なおNetflixで配信されているドラマ『新聞記者』は、事実を描いていないということで炎上する事態に…。遺族の許可を得ていないという話も出ています(映画『新聞記者』でも、加計問題を想起させる事件が扱われていました)。
『私は真実が知りたい』赤木雅子、相澤冬樹
2018年3月7日、近畿財務職員・赤木俊夫さんが自ら命を絶った…。
本書は妻の赤木雅子さんが、真実を知りたいと訴える内容です。
もともと9億円の土地が、8億円以上値引きされて、森友学園に売却されたことから、端を発します。
「私や妻が関係しているということになれば、間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきり申し上げておきたい。まったく関係ない」
安倍首相のこの一言で、森友学園問題への注目度が一気に高まります。佐川理財局長は、交渉記録はないと答弁。改ざん前の公文書には、安倍昭恵夫人の名前が記されていたことが発覚します。
そして改ざんを指示されていた、赤木俊夫さんの自殺によって、財務省は改ざんの事実を認めることになります。38人が刑事告発されたものの、大阪地検特捜部は全員を不起訴にしてしまうのです。
いったい真実はどこにあるのか?
悲痛な赤木雅子さんの声が、胸に響きます。
『メディアの闇 「安倍官邸 VS.NHK」森友取材全真相』相澤冬樹
森友学園問題において、NHKのなかで何が起こっていたのか?
NHK大阪放送局の司法担当キャップだった著者によって、赤裸々に語られる真実には、愕然とさせられます。
著者が森友学園問題について取材をして原稿を上げるものの、書き換えられていく。決定打となったのは、財務局が森友学園側に、上限額を聞いていたというスクープを、NHKのニュースで放映したときのこと。
NHK報道部門トップの小池報道局長が「なぜ出したんだ!」と激怒し、「あなたの将来はないと思え」と恫喝したというのです。
そして、著者はNHKを辞めることに…。
報道のプライドはどこにいったのか。NHKの報道の現状を知るためにも、しっかり読んでおきたい一冊です。
『国策不捜査』籠池泰典、赤澤竜也
安倍さん、なぜ嘘をつくんですか!?
森友学園理事長・籠池泰典により、どういった流れで土地購入にいたったのかが、明かされます。安倍元首相との関係は?
テレビでおもしろがって取り上げられた籠池さんの違う一面を感じることができます。森友学園問題を知るには、必読の内容です。
加計問題に関係する本
次に、加計問題に関係する本をまとめていきます。
『悪だくみ 「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』森功
加計学園の問題はどこにあったのか?
安倍元首相と加計氏の関係は、アメリカ留学時代からはじまっていて、世襲同士で義兄弟のような間柄だったことがわかります。
獣医学部新設は、政府の規制緩和政策で、国家戦略特区は内閣府に権限があるわけです。だからこそ、内閣総理大臣が関わっていないはずがない。
大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。ずっしりと重みのある内容です。
『徹底検証「森友・加計事件」――朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』
本書は、森友・加計問題は、朝日新聞による報道犯罪だというスタンスです。書き口は軽妙です。安倍昭恵さんと籠池さんとのやり取りが収録されているのは驚きでした。
桜を見る会問題に関係する本
桜を見る会の問題はなんだったのか、また安倍三代のそれぞれの人物像に迫った本を紹介します。
『汚れた桜 桜を見る会」疑惑に迫った49日』毎日新聞「桜を見る会」取材班
桜を見る会の参加者と支出がどんどん増えていた。2014年は参加者1万3700人で3000万円、2019年は1万8200人で5520万円かかっていたのです。
税金を使って、数百人規模にのぼって、自身の後援会関係者をもてなしたわけで、毎日新聞によると「脱法行為に近い」という指摘がされています。お金の出入りの不明さにも切り込んだ内容になっています。
安倍晋三はなに者だったのか
安倍さんは、戦後最長政権だったわけですが、賛否が分かれる政治家でした。その実像はどこにあるのか?掴むためにはさまざまな視点を持つことが必要なのだと思います。
たとえば、森友加計問題。本質がつかみにくいわけですが、だからこそ、書籍から学べることは多い。丹念に取材をしていたり、発言者が明確であったり、複数の本を読むことで、森友加計問題の本質が浮かび上がってきます。
日本政治を知るために、安倍さん関連の本を読むことは大事になるので、気になるテーマや本から読んでいくことをおすすめします。