たかゆうの読書日記

本が好きです。読んだ本を中心に、映画・マンガ・テレビなどについても言及できればと思います。

アガサ・クリスティおすすめ作品16選!読む順番は?隠れた名作も紹介

アガサ・クリスティは、ミステリーの古典といえるのですが、読むべき理由がいくつかあると思っています。

  • 驚愕トリックが待ち受けている
  • とにかく読みやすい
  • ミステリー小説としておもしろい

トリックは驚くものが多くて、ありとあらゆることを試しています。それがアイデアだけではなくて、物語として成立している。古典ミステリーのなかでは、文句なく読みやすい作品が多いのも、アガサ・クリスティの特徴です。

個人的には『そして誰もいなくなった』が最高で、読んだときに古典っぽさがなく、新刊で出たといっても通用するのでは?と思えるくらいだったのを覚えています。

数あるアガサ・クリスティ作品から、読んだものだけ、おすすめしたい作品を解説していきます。

アガサ・クリスティおすすめ作品!絶対に読むべき代表作

アガサ・クリスティのなかで、代表作といわれる作品を紹介していきます。読む順番としても、代表作からで間違いないと思います。

『オリエント急行殺人事件』

名探偵ポワロシリーズ

歴史に残る名作『オリエント急行殺人事件』。

とにかくトリックが有名なので、未読であれば、まっさらな状態で急いで読んでほしい作品です。

豪華な列車・オリエント急行に乗った乗客たち。オリエント急行が豪雪のため停車してしまった夜、乗客の1人がメッタ刺しになって発見されます。

オリエント急行に乗り合わせていた名探偵ポワロが捜査に乗り出すものの、全員にアリバイがあり、犯人が絞り込めない。そして明かされる真実とは?

トリックを知っていたとしても読ませるんですね。なぜ殺人事件が起こったのか、その理由が切ない。あと、大胆な真相につながるほのめかしが序盤からあるのもわかるので、アガサ・クリスティの仕掛けを堪能する読み方も可能です。

何度読んでも味わいのある作品。

『アクロイド殺し』

名探偵ポワロシリーズ

これまたミステリ史上、有名なトリックを用いた作品をおすすめしたいと思います。

イギリスの田舎で、資産家のアクロイドが殺された。町の医師シェパードが、事件の顛末を書き記す。捜査が続く中で、シェパードの隣にあの男が引っ越してきた。名探偵ポワロが、事件解決に乗り出す。

『アクロイド殺し』のトリックは、類似作品はいくつかあるけれど、圧倒的に完成度が高い。未読でトリックを知らないとしたら、それはものすごく羨ましい読書体験になるはずです。

『そして誰もいなくなった』

ノンシリーズ作品

強烈に印象に残っている作品。 オーエンなる人物の招待により、孤島に男女10人が集う。屋敷内には、10人のインディアンが1人ずつ消えていく歌詞の童謡と、10体のインディアン人形が飾られていた。童謡とそっくりな状況で、1人が絶命し、人形が1体減っていた。そして1人また1人と、歌詞の内容にそって、殺されていく…。 綾辻行人『十角館の殺人』や西尾維新『クビキリサイクル』が、オマージュを捧げた作品。古びれていないのがすごいと思います!**とにかくどんどん読み進めたくなってしまいます。** ## 『ABC殺人事件』 名探偵ポワロシリーズ

謎解きサスペンス!

ポワロのもとに「ABC」と名乗る人物から、犯行予告が届く。AAのイニシャルの人物が犠牲になり、次にBBのイニシャルの人物が犠牲になっていく…。

場面転換が早くてとにかく飽きさせない作りになっています。Cの事件からのサスペンス性が高いので、ぜひ体験してみてほしいです!

『ナイルに死す』

名探偵ポワロシリーズより

ロマンとミステリが結合した傑作!

殺人が起こるのは中盤からなのですが、かといって序盤が退屈かというと、そうではないんです。ナイル川観光船の旅、そのなかで巻き起こるドロドロの人間関係。殺人事件の前の話からして、読ませるんですね。

2022年にはケネス・ブラナー監督で映画化されています。

youtu.be

アガサ・クリスティ隠れた名作・傑作

アガサ・クリスティの隠れた名作といえる作品群を紹介していきます。もちろんミステリ好きなら知っている作品群だと思いますが、アガサ・クリスティは代表作があまりにも有名すぎて、埋もれている名作が多いんですね。いずれも今読んでもおもしろい作品です!

『五匹の子豚』

名探偵ポワロシリーズ

見事な作品!16年前、画家のアミアスは毒死、妻のカロリンが殺人罪で起訴されて有罪判決を受けて獄死する。その娘カーラはポワロに、母は本当に犯人だったのか、調べてほしいと依頼するのだった。

ポワロが捜査に乗り出すと、アミアスの愛人や友人を含めた5人の容疑者があらわれます。第一部でこの5人の証言がポワロによって引き出され、さらに第二部には5人の手記を読むことになります。5人それぞれによって、事件は様変わりしていく構成。そして、第三部ですべての謎が解き明かされていくのです。

流れるような展開で、一部の隙もない。ここまで組み立てられているのに、登場人物からは人間性を感じてしまうのです。アガサ・クリスティのファンならば知っている作品ではあるものの、隠れた傑作としてたくさんの人に読んでほしい!と思わせる内容でした。

『白昼の悪魔』

名探偵ポワロシリーズ

舞台はスマグラーズ島の観光ホテル。元女優アリーナ・マーシャルは、レッドファンの夫パトリックを誘惑する。アリーナが愛憎をまきおこすなか、彼女は絞殺死体で発見された…。

三角関係がありながら、殺人が起こり、かなりスピード感のある展開。シンプルであるがゆえに、アガサ・クリスティの研ぎ澄まされたストーリーテリングが楽しめます。

『杉の柩』

名探偵ポワロシリーズ

法廷に立つエリノア。容疑はメアリイの殺害で、傍聴席にポワロがいた。

冒頭はエリノアの物語で、本作のすごさは第二部から感じることができます。ポワロが捜査に乗り出すことで、エリノアの物語を客観的に見ることになるからです。そして第三部の解決編へ。アガサ・クリスティの巧みさを堪能できる作品!

『死との約束』

名探偵ポワロシリーズ

「彼女を殺さないといけない」

冒頭のセリフからして、心を摑まされる。不穏な家族の物語で、中心となるのは、理不尽極まりないボイントン夫人。この夫人に対してイライラしながらも先が気になってしまうんですね。殺されるべき女性と、殺意を抱く男女の関係を想像しながら一気読みしてしまいます!

『カーテン』

名探偵ポワロシリーズ

ポワロ最後の事件。 執筆時期はだいぶ前なのですが、シリーズ最終作として、事前にまとめていたというのも、秀逸さを感じさせます。

驚きなのが、ポワロが老衰していて車椅子に乗っていること。第1作のスタイルズ荘にやってきます。ポワロの目的は、ここにいる殺人鬼を探し出して、対決すること。犯人の目星はついているといい、相棒のヘイスティングスを呼び寄せます。犯人はだれなのか?

なんとも奇妙な設定でありながら、シリーズ最終作と銘打ってるだけあって、だれが犯人か、だれが被害者になるのか、それはポワロである可能性もあり、ハラハラ感があるんですね。

そして明かされる真実…。ポワロの魅力が存分に伝わりミステリーとしてもレベルが高い。最終作にふさわしい傑作!

『ハロウィーン・パーティー』

名探偵ポワロシリーズ

推理作家が参加するハロウィーンパーティーで、ある少女が殺人現場を目撃したことがあると言い出します。パーティーのあと、その少女は死体となって発見されます。それも奇妙な姿で…。

名探偵ポアロが殺人の真相に挑みます。不思議な謎が提示されて、どんどん先が気になっていく展開が待っています。

『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』の原作。映画では、舞台をイギリスから、水の都のイタリア・ベネチアに設定されています。

www.20thcenturystudios.jp

『ポケットにライ麦を』

ミス・マープルシリーズ

ミス・マープルのカッコよさが全開な作品!

投資会社の社長が、オフィスで毒死した。さらに社長の後妻と、屋敷の小間使いの死体が連続して発見される。

見立て殺人としての秀逸さがありながら、見どころは正義の怒りがみなぎるミス・マープルの姿。最終章の余韻も味わってほしい傑作です。

『NかMか』

トミー&タペンスシリーズ

トミーとタペンスの2人のもとに、情報部員のグラントがあらわれる。高級ゲストハウスに、ドイツの大物スパイNないしMが潜んでいるというのだ。

いったい誰がスパイなのか?という謎によって、サスペンスが増していて、緊張感のある作品に仕上がっています。そして後半は一気にスリラー展開に!異色作でありながら、エンタメ性が詰め込まれた作品になっています。

アガサ・クリスティ解説本

アガサ・クリスティをさらに深く知るための解説本を紹介していきます。

『アガサ・クリスティー自伝』

かなり分厚いアガサ・クリスティの自伝。26歳で『スタイルズ荘の怪事件』を書き上げ、『アクロイド殺し』でミステリ界に衝撃を与えます。そのころ、母の死と、夫が不倫があり、中東に傷心旅行へ。アガサ・クリスティーの創作へも影響を与えたことがわかってきます。

『そして誰もいなくなった』は苦労して書き上げられたことや、『春にして君を離れ』は3日で書き上げたことなど、創作にまつわるエピソードに惹きつけられます!

『アガサ・クリスティーの秘密ノート』

アガサ・クリスティーが残した73冊のノートから創作分析。ネタバレ全開で、人気作の裏側がわかります。

おもしろいのは、アガサ・クリスティーには2つの創作方法があったということ。1つは、トリックありき。もう1つは人間関係が先にあったもの。後者は誰が犯人なのか、クリスティーもわからなかった作品が占めているそうです。いやぁ知密な展開の作品が多いだけにびっくり。本書を読むと、アガサ・クリスティーの作品を再読したくなります!

『アガサ・クリスティー完全攻略』

アガサ・クリスティーの長編短編合わせた99作品を読破!すべてに星で評価をして、ベスト10を決定しています。

評論がとにかく素晴らしい。どの部分がどうすごいのか、各作品の魅力が伝わり、読んでみたい!と思わせてくれます。

アガサ・クリスティの人気シリーズを解説

ここからはアガサ・クリスティの人気シリーズについて解説していきます。

名探偵ポワロシリーズ

アガサ・クリスティの代表シリーズ。作品ごとに趣向を凝らしていて、まったく飽きないんですね。なにしろ、3作目が大仕掛けのトリック作『アクロイド殺し』なので。

そのほかにも『オリエント急行殺人事件』『ABC殺人事件』『ナイルに死す』という有名作があり、全盛期には『五匹の子豚』『杉の柩』『白昼の悪魔』が並びます。

そして最終作『カーテン』で閉じる。見事すぎるシリーズ作です。これをリアルタイムで読めた人は幸せだっただろうとうらやましい気持ちになります。

ミス・マープルシリーズ

ほのぼのした田舎町で起こる事件を、マープルおばさんが解決!本作をそのように思っていたら大間違いです。ダークな悲劇が多く、解決したとしてもどんよりとした重い感情が残ってしまう。そして、マープルがかっこいいんです。

特に『ポケットにライ麦を』『鏡は横にひび割れて』は重厚さがあり、ぜひこのヘビーな世界にひたってほしいと思います。

トミー&タペンスシリーズ

コンビもの。シリーズ第1作『秘密機関』では青年冒険家商会を立ち上げるなど、まだ若い2人が謎を解く話。

それが第二作『NかMか』では、2人が子どもを育て上げていることになっていて、最終作『運命の裏木戸』では老齢になっています。共通しているのは、トミーとタペンスの冒険心!推理とワクワクが詰まったシリーズです。

【ネタバレ】アガサ・クリスティの代表作の驚愕トリック

未読の方は要注意!

アガサクリスティの代表作について1行でネタバレをまとめていきます。

  • 『アクロイド殺し』語り手が犯人
  • 『オリエント急行殺人事件』容疑者全員が犯人
  • 『ABC殺人事件』無差別殺人かと思いきや標的は1人
  • 『そして誰もいなくなった』すべての登場人物が死亡したと思いきや、被害者のなかに犯人がいる

アガサ・クリスティは驚くほど読みやすい

数あるミステリーの古典の中で、アガサ・クリスティは断トツで読みやすいと思っています。

トリックも今の時代にも語り継がれるほど有名なものが多い。それも物語のおもしろさがあってこそなんですね。ぜひ興味ある作品から手に取ってほしいと思います!