たかゆうの読書日記

本が好きです。読んだ本を中心に、映画・マンガ・テレビなどについても言及できればと思います。

ロシアのウクライナ侵攻を考えるためのおすすめ本12選

ロシアウクライナ侵攻関連本

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、その関連本を読んでみました。

プーチンの思惑を知ることで、ただの突発的な戦争ではなく、冷戦後の欧米主導の状態にNOを突きつけたということが分かります。

そして遡ると、独ソ戦での大きな被害があったことが、ロシアの原体験として影響していることが見えてきます。

  • プーチンを知るおすすめ本
  • 独ソ戦を知るおすすめ本
  • ウクライナを知るおすすめ本

この3つに分けて、紹介していきます。

プーチンを知るおすすめ本

まずはプーチンを知るための手がかりになるおすすめ本をそろえました。

『現代ロシアの軍事戦略』

今のロシアはどんな戦略を持っているのか、この世界をどう見ているのか。いまのロシアの軍事戦略を軸に解説されています。

クリミア制圧をはじめとするウクライナとロシアの対峙は、今のロシアの侵攻が驚きではなく、実際に起こりうる出来事だったことが、わかります。ロシアの「新しい戦争」として、2014年のウクライナ危機、2016年のアメリカ大統領選の妨害がしっかりまとめられています。

本書が刊行されたのは、2021年5月。これまでのロシアとウクイナの関係を整理するなら、まずこの一冊をおすすめしたいです。

『プーチンの国家戦略 岐路に立つ強国ロシア』

20世紀最大の悲劇、ソ連崩壊。プーチンには、トラウマがあったことがわかります。 そして、プーチンは2011年、ユーラシア連合構想を提唱。政治、経済、外交、安全保障などさまざまな面で旧ソ連諸国との統合を深めることを考えているわけです。

ウクライナ紛争、NATO、核、旧ソ連諸国、アジア太平洋戦略、そして宇宙。プーチンの目から見た世界をさまざまな角度からまとめられています。

『プーチンとG8』

プーチンが目指しているのは、祖国ロシアの防衛。領土拡張や覇権主義ではないと見ていいというのが、著者のスタンスです。G8の枠組みから排除されたロシアは、中国と同盟関係強化を図り、欧米中心の国際秩序に挑戦している。この見方はしっくりくるところがありました。

ロシアはソ連崩壊でバラバラにされた分断国家だという認識で、その統合がプーチン自身の使命だと考えているわけです。

ほかにも、ウクライナのこれまでのロシアへの関わりも、丁寧にまとめられていて、ロシアとウクライナとの関係性が把握できます。

『ウクライナ危機の真相 プーチンの思惑』

クリミア半島侵攻のときのロシアについて考察。小泉悠、佐々木正明、廣瀬陽子、亀山郁夫、佐藤優といった5人によって、多角的な論考が読めます。今に続くプーチンの思惑が浮かび上がります。

『ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略 』

ロシアのハイブリッド戦争について解説。ハイブリッド戦争とは、正規戦と非正規戦が組み合わされた戦争のこと。ロシアは新たなスタイルで、戦争を仕掛けていることがわかります。

独ソ戦を知るおすすめ本

第二次世界大戦中の1941年から1945年にかけて勃発した独ソ戦。ヒトラーが共産主義を絶滅しようと、ロシアへ侵攻。その被害は凄惨で、ロシアでは民間人を含めた2000〜3000万人が犠牲になったといわれています。日本の被害者は、第二次世界大戦で310万人といわれているので、独ソ戦の凄惨さがわかると思います。

ソ連時代のトラウマを、ロシアがどう抱えているのかを知るための本を紹介していきます。

『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』

2020年の新書大賞第1位!独ソ戦について、開戦から戦場の悲惨さまで、さまざまな資料をもとに読み解いていきます。

「通常戦争」「収奪戦争」「世界観戦争」が並行しながら、そして「世界観戦争」の色合いが濃くなっていくことで、殺戮と惨禍がもたらされたと解説。戦局をわかりやすく解説してくれるので、独ソ戦の全体像と細部をつかむことができます。独ソ戦を知りたいならまず手に取っておきたい一冊です。

『戦争は女の顔をしていない』

著者は、ウクライナ生まれのアレクシエーヴィチ。独ソ戦で、ソ連軍に従軍した女性たちの姿を、500人を超える人に話を聞き、まとめています。

とにかく生々しい。まるで目の前で話しているかのように、いやまるで現地にいるかのように、綴られた言葉が胸に迫ります。

狙撃兵や高射砲兵になった女性の話は、激しい戦場での描写に、目が離せなくなります。一方で、戦場にいたとしても1人の女性であったことも伝わります。

「戦争で一番恐ろしかったのは、男物のパンツを履いてることよ」と話す女性がいて、そこに人間としての尊厳を感じてしまうのです。

『同志少女よ、敵を撃て』

2022年本屋大賞にもノミネートされた小説作品。

独ソ戦をテーマにして史実をしっかり土台にしながら、戦場の悲惨さと少女たちの葛藤を描きます。女性狙撃手の主人公セラフィマを含めて、とにかくキャラクターが立っていて、読みやすい。

物語は1942年、少女セラフィマの村からはじまります。ドイツ軍によって、母親を含めた村人が惨殺。ソ連の女性兵士イリーナによって救われるものの、セラフィマは狙撃兵の訓練学校へ。ドイツ軍への復讐を誓います。

『戦争は女の顔をしていない』マンガ版

『戦争は女の顔をしていない』がマンガ化。

小梅けいとさんの絵柄がよくて、かわいさのなかに凛とした意志を感じる女性が出てきます。原作のエピソードを活かしながら、短編として読ませるものに仕上げていて、巧みだと思いました。

『スターリングラード』

戦史ノンフィクション作家であるアントニー・ビーヴァーによって、臨場感のある迫力の描写が続きます。ボリュームはありますが、徹底した取材をベースに、独ソ戦を物語のように読ませます。

『独ソ開戦』

独ソ不可侵条約を結んでいながら、ドイツはなぜソ連に侵攻したのか。ソ連はなぜドイツへの警戒を怠ったのか。独ソ戦の開戦前までに絞って、さまざまな資料からその原因を追及していきます。

ウクライナを知るおすすめ本

ウクライナの歴史をしっかり学ぶことができる本になります。  

『物語ウクライナの歴史』

ウクライナのことをよく知るなら、迷いなくこの本をおすすめします。 ソ連、ロシアと隣接しながら、どうやって独自の文化を維持して育んできたのかが、わかります。古代から20世紀まで、ウクライナ歴史を網羅しています。

ロシアから世界はどう見えているのかを知る

ロシアのウクライナ侵攻は許されることではないものの、表層的に批判をしているだけでは、戦争はなくならないと思わせてくれます。

ウクライナ侵攻がなぜ起こったのか、ロシアにはどのような思惑があるのか、まずは学ぶことが必要です。