たかゆうの読書日記

本が好きです。読んだ本を中心に、映画・マンガ・テレビなどについても言及できればと思います。

『100万回シェアされるコピー』バズを生み出す4つのルールとは?

いまのウェブ時代にマッチしたキャッチコピーとはなにか?

著者は橋口幸生さん。電通所属で、プリッツ、スカパー!などの広告を担当。

事例が豊富で、現状把握するのに適した内容でした。

コピーの語源と意味の変遷とは?

まずはコピーの語源から。コピーは、「多量」を意味するラテン語のcopiaだと言われています。

それが英語になり、1500年代になると、コピーは「文章」または「複製」を意味するようになりまさ。1450年にグーデンベルクの印刷革命が起こったのでその影響なんですね。

1800年中頃に、コピーはニュース記事の「草稿」となり、20世紀はじめに「広告の文章」を意味するものとなります。

コピーって、意味が幅広い!

コピーの作り方

さて、ここからは実践編となります。本書における、コピー作り4つのルールはこちら!

  • ルール1 本音
  • ルール2 驚き
  • ルール3 共感
  • ルール4 反感

それぞれ確認していきましょう。

ルール1 本音

本音をさらけ出す系ですね。自虐ネタとも言えそうです。ソーシャルメディアは背伸びリア充空間だから本音が逆に目立つ、というのが著者の分析です。イベントにうまく乗っかったりするのもあり。

「つらい。」プリッツ

プリッツを例に挙げています。ポッキーの日ではなく、正しくはポッキー&プリッツの日なんですね。それなのにポッキーばかりが注目されています。そこでプリッツ主役の自虐ネタを広告で打ってのコピーがこれ。

「一目で義理とわかるチョコ」ブラックサンダー

あえて義理だとさらけ出して大成功!毎年のバレンタイン限定義理チョコを展開しています。

「10分どん兵衛」どん兵衛

芸人のマキタスポーツがラジオで10分待ってどん兵衛を食べるとうまいと力説。日清が10分どん兵衛を知らなかったと謝罪する形で対談記事が公開されて、大きく拡散されました。

ルール2 驚き

「人は笑う前に必ず驚いている」。これは気づきませんでした。

驚きには回収型、非回収型の2種類があると定義しています。

  • 回収型 ネタばらしをする。商品の直接訴求に向いている。
  • 非回収型 ネタばらしをしない。会話を生む訴求点を設定する。

「世界でいちばん、3Dが似合う女。」貞子3D

メガ貞子をトラックに載せて走らせての話題作り。著者が担当した案件。

「石田三成CM」滋賀県

破天荒な動画をYouTubeなどで展開しました。インパクトあり。非回収型ですね。

ルール3 共感

ソーシャルメディアは放課後の教室。共感できる話題がシェアされていきます。共感するコピーからオンライン/オフライン問わずさまざまな企画につなげられるのが強みだと、分析しています。

「揶揄とLOVEが共感される」っておもしろい言葉。ウェブにアーカイブされることを意識しているそうです。

「うどん県」香川県

うどんネタをたらふく展開させて、香川の名を浸透させました。

「ハンカチ以来パッとしないわね、早稲田さん」東京六大学野球

遊び心あふれるキャッチコピー。ちなみに慶應は「ビリギャルって言葉がお似合いよ、慶應さん」でした。ニヤリとしてしまう要素が詰め込まれていますね。

ルール4 反感

反感も、共感のうち。反感コピーは賛否それぞれからシェアされるので拡散が倍になると言います。ただし炎上には要注意。

「日本よ、これが映画だ」アベンジャーズ

上から目線に反発を覚えた人多数。だけど結果的には大成功で、『アベンジャーズ』がコピーに見合った大作だったことで、説得力が出ました。そしてテンプレートとして拡散。

こういったテンプレで使えるコピーはパロディとしてシェアされていくわけです。

「お金の奴隷解放宣言」キングコング西野

フリーモデルのビジネスはこれまでもあったのに、さすがキングコング西野、強い言葉をチョイスしてきます。賛否両論うずまいて、広がっていきました。

シャープ中の人も登場!

SHARP中の人である山本隆博さんも登場します。

もともとは宣伝部で王道の広告キャンペーンをやっていたそうです。それがソーシャル担当になって、当初はフォロワーが増えなかったそうです。

会社の業績悪化のときは、公式アカに罵倒や批判が殺到しました。このとき、個人に立ち返って、中の人の人柄が分かるように情報発信することで、まともさを取り返せると思ったと言います。「弱い存在の発する弱い言葉こそが共感を生む」。カッコいい!

おすすめ度6 ☆☆☆☆☆☆★★★★

もうちょっとコピーの作り方について、ノウハウがまとまってほしかったかなと思いますが、ネットにおけるコピーの事例をしっかりまとめている点で価値があるなと。

コピーの重要度が増している中で、参考になる一冊でした!