たかゆうの読書日記

本が好きです。読んだ本を中心に、映画・マンガ・テレビなどについても言及できればと思います。

スタジオジブリ、宮崎駿、鈴木敏夫おすすめ本30選!『君たちはどう生きるか』関連本も紹介

10年ぶりの宮崎駿の新作『君たちはどう生きるか』が、大ヒット中!

宮崎駿が国民的作家だということが見せつけられたと思います。振り返るとスタジオジブリは傑作を生み出し続けて、それはまた日本アニメの歴史ともリンクします。そしてスタジオジブリ関連の本っておもしろいんですよね。宮崎駿や鈴木敏夫の発言には深さがある。

そこで自分が読んだスタジオジブリや宮崎駿、高畑勲、鈴木敏夫に関連するおすすめ本をまとめていこうと思います!

『君たちはどう生きるか』関連本

『君たちはどう生きるか』はさまざまな関連本がありますので、そちらも紹介します。

マンガ版『君たちはどう生きるか』羽賀翔一

200万部以上が販売されたマンガ版。現代に合わせてアップデートしながら、マンガ作品としてクオリティが高いものになっています。『君たちはどう生きるか』を読むなら、マンガ版をおすすめしたいです!

小説版『君たちはどう生きるか』

1950年代に刊行された小説版。社会の仕組みがどうなっているのか、自然とわかるような構成になっています。宮崎駿作品でも、初版本の表紙が見えていて、重要なキーアイテムになっています。

『失われたものたちの本』ジョン・コナリー

映画『君たちはどう生きるか』のもう一つの原作といわれるのが、本作です。戦争の時代に母を亡くしてしまい、父の再婚に心が動揺する少年が主人公。「ねじくれ男」なる不思議な存在に誘われて、異世界へ旅立つことになります。

宮崎駿の発想法・原点を知る

ここからは、宮崎駿が自ら語っている本を紹介します。

『出発点―1979~1996』宮崎駿

宮崎駿が語ったこと・書いたことが詰め込まれています!間違いなく必読の本です。

エッセイやインタビュー、対談は、宮崎駿の思考が濃厚に感じられます。さらに企画書・演出覚書は、各作品への志が感じられるんですね。特別寄稿の高畑勲が宮崎駿について綴った「エロスの火花」も読んでほしいです!

『折り返し点―1997~2008』宮崎駿

『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』まで、12年にわたる宮崎駿の思想の軌跡が詰め込まれています。企画書、エッセイ、インタビュー、対談、講演、手紙など、貴重な内容になっています!

『風の帰る場所』宮崎駿

宮崎駿の思考をインタビュー形式で深掘りしていく。インタビュアーが渋谷陽一さんで、ノーカットに近い形で収録されているので、その場で聴いているかのような臨場感があります。『風の谷のナウシカ』から『千と千尋の神隠し』まで。トータルで60,000字インタビューになります。

『続・風の帰る場所』宮崎駿

風の帰る場所の続編。『崖の上のポニョ』『借りぐらしのアリエッティ』『コクリコ坂から』『風立ちぬ』の公開時期でのインタビュー4本収録。スタジオジブリ作品と変わりゆく時代が、感じられる内容になっています!

相変わらず渋谷陽一さんのインタビューは真剣勝負で、宮崎駿の本音に近い言動が感じられます。

また『未来少年コナン』や長編監督デビュー前について語った2本のインタビューも収録。こちらは別のインタビュアーの記事の再録ですが、合わせて宮崎駿の原点に触れることができる構成になっています。

『宮崎駿の雑想ノート』宮崎駿

宮崎駿の自由な発想が楽しめます。かなりの軍事オタクなんですね。こだわりの描写が盛りだくさん。『紅の豚』の原型もここから読み取れます。

『本へのとびら』宮崎駿

宮崎駿が読んできた児童書が紹介されています。岩波の本が中心になるのですが、とても貴重です。宮崎駿の作品の原点が見えてくるんですね。 すべて読みたくなってしまう。

『半藤一利と宮崎駿の腰ぬけ愛国談義』

歴史家・半藤一利と宮崎駿との対談。めずらしく国家についてを話していて、おもしろいです。将来の展望をどう見ているのか、かなり深く語っています。とはいえ、タイトルが示すとおり、腰ぬけ愛国談義ですから、どこかユーモアがある。好きなのはこの箇所です。

「若い人たちはやたら『不安だ、不安だ』と言うんですが、僕は『健康で働く気があれば大丈夫。それしかないだろう』と言い返しています。『不安がるのが流行っているけど、流行に乗っても愚かなる大衆になるだけだからやめなさい』と。『不安な時は楽天的になって、みんなが楽天的なときは不安になれ』とね。よくわかんないけど(笑)」

今読んでも、深みを感じられると思います!

鈴木敏夫からみたスタジオジブリ

鈴木敏夫からの視点でのスタジオジブリ。これまたおもしろいです!

『スタジオジブリ物語』鈴木敏夫 編集

スタジオジブリの歴史を知るなら、この本が最適! 『風の谷のナウシカ』がきっかけで誕生したスタジオジブリが歩んできた道が、しっかり記されています。いま、ジブリを知りたいなら最適な1冊でしょう。

『ジブリの仲間たち』鈴木敏夫

仲間たちというから、てっきり制作スタッフの話かと思いきや、違いました。鈴木敏夫がジブリ作品をどうやって宣伝してきたか、PR手法についてたっぷり書かれています。

これは「宣伝は仲間をつくること」という鈴木敏夫の理念からきたタイトルなんですね。作品は作って終わりではなくて、どう届けるか。届けるために作品の内容に踏み込む場面もある。このバランスが緊張感があって、鈴木敏夫の仕事っぷりを感じられます。めちゃくちゃおもしろいです!

『天才の思考 高畑勲と宮崎駿』鈴木敏夫

ジブリ19作品の内幕が語られています。網羅性がかなりある内容。ジブリの教科書でインタビューされた内容であるため、とにかく重厚なんですね。1作品に数時間かけて話を聞いているんです。

『仕事道楽』鈴木敏夫

鈴木敏夫から見える景色ってリアルなんですよね。高畑勲や宮崎駿の天才性が見えてくる。一方で苦労しているところもありますが笑。

天才にはなれないけれど鈴木敏夫にならなれるかもしれない、この感覚があるのかもしれない。もちろんプロデューサーとしてのすごさを感じるがあって、マネできそうな(ただそう簡単ではないでしょうが)、等身大の感覚があるのかもしれないです。

高畑勲や宮崎駿に一目置かれるために、やるべきことをやっている。彼らの思考をノートにメモして、おすすめされた本は読む。だからこそ近い感覚で話す相手として認められていくんですね。それが創作にも活かされる。だからこそ鈴木敏夫が必要だったのだとあらためて感じさせてくれます。ホントおもしろいです!

『風に吹かれて』

8時間ものインタビューをなるべくそのまま収録。渋谷陽一がインタビュアーになっていて、引き出された話は、まぁ魅力的です。「鈴木敏夫は、アニメの神様がこの世に送った使者だ」という渋谷陽一の言葉に納得。

『ジブリの哲学』鈴木敏夫

鈴木敏夫のこれまでの書いた原稿をまとめた一冊。それはすなわちスタジオジブリの歴史をまとめたものとなります。当時のリアルな情感が盛り込まれているわけです。

「あちこちに書き散らした原稿を整理して一冊にまとめたデータベース」でありながら、並びが整理されているので、読みやすいです。

『ジブリの文学』鈴木敏夫

鈴木敏夫のドキュメントエッセイの続編。おすすめは、鈴木敏夫がどんな本を読んできたのか、宮崎駿や高畑勲の影響とともに、編集者としての知識の深みが感じられます。

朝井リョウ・池澤夏樹・中村文則・又吉直樹といった作家との対談も、いい内容なものが多かったです!

『禅とジブリ』鈴木敏夫

鈴木敏夫が3人の禅僧と語る。なんとも不思議な企画の本です。しかし、魅力的。この時代を生きることについて語っていると同時に、ジブリの作品論にもなるんですね。時代とともに作られたわけです。それとともに今を生きるというテーマが内包されているだけに、仏教や禅と相性がいいのだなと思いました。おもしろい切り口です!

スタジオジブリのスタッフから見る

スタジオジブリのスタッフからはどう見えるのか?いくつかの本があります。

『エンピツ戦記』

アニメーター舘野仁美さんによるジブリの内側。27年間ジブリで制作してきただけに、知らない話がけっこう出てきます。宮崎駿の瞬間湯沸かし器のように怒るところや、尊敬できるところ。そしてジブリで働くおもしろさと難しさ。忖度なしに語っている感じがします。

一番好きなエピソードは、宮崎駿が池のほとりに舞い降りてきた水鳥に対して、「おまえ、飛び方まちがってるよ」と言った話。本物の鳥に対してダメ出しってすごくないですか!?リアルを超えた描き方をしていることがよくわかります。

『アニメーションの色職人』

高畑・宮崎アニメを「色」で支えた保田道世さんの本。35年の職人人生になりますから、日本アニメーションの歴史と言ってもいいくらい。

製作が遅れるとすべてのしわ寄せがくるのが、この仕事なんですね。高畑勲さんからは「同志」、宮崎駿さんからは「戦友」と呼ばれるほどの人物。こだわりの内容になっています。

『ハイジが生まれた日』

高畑勲演出、宮崎駿がレイアウトを担当した「ハイジ」がどのように生まれたのか?克明な記録です。

おもしろいのは、2人の制作秘話。高畑勲ははじめはアニメでやるには日常を描くためにたいへんなのがわかり断ろうとした。引き受けてから、それを形にしたのが宮崎駿だということがよくわかります。

  • 背景担当「アルムの山小屋の設定を見たときにびっくりしたのは、宮崎さんの図面だったら本当に家が建つということ」
  • 制作進行「計算し尽くされた構図とカメラワーク。山小屋の道具の使い方から演技のさせ方まで。どうしてこんなにリアルに作っていけるのか」

この当時から、宮崎駿がアニメーターとして天才だったわけです。

スタジオジブリを外側から知る

スタジオジブリ作品を批評している本からおすすめを紹介していきます!

『誰も知らないジブリアニメの世界』岡田斗司夫

作品評としてバシバシ切っていくので、まず批評本として手にとってほしい一冊。岡田斗司夫はたまに間違えて断言していることありますが、納得の内容です!

『宮崎駿の世界』切通理作

評論家の切通理作から見た宮崎駿作品。

あらすじだけでも各作品たっぷり解説になっています。未来少年コナンも全話解説ですから、まぁ労作です。切通理作が宮崎駿作品をどう批評するのか、その点から読むこともできる内容になっています。

『宮崎駿全書』叶精二

圧倒的な情報量!

映画の概要や当時の状況を知るなら、まさにうってつけ。宮崎駿作品について「あらすじ」「制作の経緯」「作品の源泉」といった制作の情報だけではなく、「宣伝興行」「公開、その後」「主な批評」が掲載されているからこそ、公開前後の反応がつかめるんですね。「総論」は著者ならではの視点からの作品評で読み応えあります。

惜しいのは、カリオストロの城からハウルの動く城までなので、その後の作品についてもぜひまとめてほしいところです。

『誰も語らなかったジブリを語ろう』押井守

押井守から見たジブリ。かなり辛口なので、新鮮に読めると思います。押井守のポジションだからこそ指摘できることがある。ジブリ作品の観方が変わると思います!

『宮崎駿の原点』大泉実成

宮崎駿のこれまでの発言や、実兄の話などから原点をたどっていきます。宮崎駿が小学生になったとき、母・美子が脊椎カリエスにかかる。寝たきりの状態に。これが『となりのトトロ』や『風立ちぬ』につながっていくわけですね。

宮崎駿は劇画を描いていたが、『白蛇伝』を観たことで、世界を肯定したくてたまらない自分がいることを否定できなくなった。恥ずかしくても本心で作らねばダメだと思うようになった。このあたりは創作家としての開眼と言えます。

宮崎駿の原点を知るには読んでおきたい一冊です!

『宮崎アニメの暗号』青井汎

宮崎駿作品の考察としてすこぶるおもしろいです。『となりのトトロ』は、『ミツバチのささやき』に影響を受けていて、姉妹が引越しするのと母の不在が一致していると指摘します。自然の要素に対する畏怖。

宮崎アニメの最大のモチーフは、文明と文明外、あるいは文明と自然の間の対立なんですね。『風の谷のナウシカ』に、森人が出てきます。これはケルトの影響。なぜならケルト人も「森人」と呼ばれていたから。

『ミヤザキワールド』スーザン・ネイピア

日本アニメ研究の第一人者による宮崎駿論!世界での立ち位置が見えてくる内容になっています。

今の時代、外部との間に壁を作ろうとして、他者との関係を断絶しようとしている。宮崎作品に、そうした壁を打ち破る力があると言います。ナウシカで出てきたように、宮崎作品は「闇の中のまたたく光」にほかならない。読んでいると熱量を感じます!

『ジブリアニメで哲学する』小川仁志

宮崎駿監督の10作品中に出てくる「風」「森」「城」「海」などの主要なモチーフを哲学していきます。作品に隠されたメッセージに迫っていきます。

『物語論で読む村上春樹と宮崎駿』大塚英志

物語論から宮崎駿を考察していきます。簡単に届くのは構造だけ。だから構造に注目していくと、宮崎駿作品が読み解きやすくなるといいます。『ゲド戦記』を宮崎駿が吾郎に作らせた代物として評していたのは興味深い。

スタジオジブリ作品をより深く楽しむために

単純にアニメ作品を鑑賞するだけでもおもしろいのですが、これらの本を読むことで、作品の見方も変わってくるのは間違いないです。ぜひ気になる本から手にとってほしいと思います!