たかゆうの読書日記

本が好きです。読んだ本を中心に、映画・マンガ・テレビなどについても言及できればと思います。

ちばてつやおすすめマンガ13選!『あしたのジョー』など伝説作品の見どころは?

マンガ界のレジェンド・ちばてつや作品を紹介します!

ちばてつやには、『あしたのジョー』『紫電改のタカ』『ハリスの旋風』『おれは鉄兵』『のたり松太郎』『あした天気になあれ』など、数々のヒット作があります。

そのなかから絶対に読んでおきべき代表作を中心に、まとめていきます。

ちばてつやの現在は?

ちばてつやさんのプロフィールをざっくり紹介していきます。

プロフィール

ちばてつやさんは1939年東京生まれ。幼少期は旧満州で暮らしていたことがあります。高校に在学していた1956年に、『復讐のせむし男』でデビュー。貸本マンガや少女マンガを描きながら、その後、『あしたのジョー』や『おれは鉄兵』などヒット作を生み出していきます。マンガの教科書ともいえる演出やきめ細かい人物描写に、師事しているマンガ家も多い存在です。

ちばてつやの現在

ちばてつやさんは2021年に体調崩して入院。心臓への血流の低下や喉の疾患があったそうです。いまは退院をして、自伝的マンガ『ひねもすのたり日記』を描いています。

ちばてつや 少女マンガ期

ちばてつやの少女マンガは、恋愛メインというよりは、家族物語なんですね。それだけにじっくり読める作品がそろっています。

『ユキの太陽』

光の子養護施設で暮らしていたユキは、建設会社社長の岩渕に引き取られます。そこには病弱な娘、早苗がいます。

やがて舞台は北海道へ。岩渕の会社の倒産などが起こるものの、快活なユキはそれでも前に進んでいきます。生きることに強い意志を持つユキに惹かれるんですよね。ちばてつや初の週刊連載作品でもあります。

『1・2・3と4・5・ロク』

一枝、二郎、三枝、四郎、いつ子の5人兄弟姉妹の物語。ロクは飼い犬の名前になります。父は刑事でしっかり者でやさしい母がいる。一家の周囲で起こる悲喜こもごもを、誠実に描いたホームドラマです。テレビドラマ化もされているんですね。

中盤で大きな悲劇が一家を襲います。それでもめげずに前を向いて生きていく家族の姿が、愛おしくなっていくんですね。日常は続いていくんだと、背中を押してくれる作品です。

学校の先生が生徒への愛があるのもステキで「きみのケンカの相手だってわるい子なんてひとりもいないよ」と諭してくれる。説教くさく聞こえないのがいいんですよね。

『みそっかす』

上条家の三女・茜が、田舎に住むおじのもとから、野生児になって帰ってきたから大騒ぎに。日常のドタバタ劇かと思いきや、いきなりの大きな悲しい出来事が、茜を襲います。実の父が事業の倒産で自殺、育てのおじさんが亡くなってしまうんですね。

母も姉妹もどんどん荒んでいくものの、茜は雑草のようなバイタリティで人間らしい心を失いません。周りを明るくしていく茜に、力をもらえるはずです!

ちばてつや開花期

ちばてつやが知名度を上げていった作品群です。

『紫電改のタカ』

太平洋戦争末期。紫電改のパイロットである滝城太郎は、持ち前の度胸と必殺「逆タカ戦法」で敵軍を次々と撃破していきます。ただ爽快な戦争物語ではなくて、常に死と隣り合わせの状況に、滝は強い疑問を持つようになるんですね。戦争への迷いを色濃く描いているのが、ほかの戦記物との違いです。

真珠湾攻撃で惨殺されたアメリカ人一家の姿、主人公たちが特攻隊として飛び立つラストシーンなどが、印象に残ります。

『ちかいの魔球』

エースの二宮光は魔球を投げて、甲子園行きの切符を手に入れます。しかし対戦校によって出場取り消しに。そんな彼に読売ジャイアンツのスカウトが舞い込みます。

新たな魔球を生み出していく二宮の活躍と、実在するプロ野球選手が登場するのが、本作の醍醐味でしょう。エンタメ感のある作品!

『ハリスの旋風』

ケンカ好きでいくつもの学校を追い出された石田国松は、ふとしたきっかけでハリス学園に入学することになります。ハリス学園は、スポーツに力を入れていて、抜群の運動神経から国松はさまざまな部活から引っ張りだこになります。

野球、剣道、ボクシング、サッカーとさまざまなスポーツで活躍していく姿が痛快!国松のイキイキとしているところを見ると、ちばてつやがキャラクターをうまく描く作家だと感じますね。

ハリス食品がスポンサーのために、このタイトルになったとか。二度もアニメ化された作品です。

ちばてつや大ヒット期

あしたのジョーを皮切りに、ここから社会現象にもなるような作品を生み出していきます。

『あしたのジョー』

あまりにも人気ぶりに大きな社会現象にもなった、戦後マンガの代表作!主人公の矢吹丈が真っ白な灰になるラストシーンは誰もが知っているのではないでしょうか。

天賦の身体能力を持つ不良少年・矢吹丈がドヤ街にたどり着くところから物語が始まります。元ボクシングジム会長の丹下段平は、ジョーの才能に惚れ込み、ボクシングの世界へ誘います。しかし、ジョーは少年院へ。そこで宿命のライバル・力石徹と出会うことで、本格的にボクサーの道を志すことになります。力石徹やハリマオ、カーロス・リベラ、金飛龍、ホセ・メンドーサといったライバルとの激闘が繰り広げられる。

寺山修司による力石徹の葬式や、よど号ハイジャック事件の犯行声明「われわれは明日のジョーである」など、社会的にも大きな影響を与えました。マンガのオールタイムベストでは必ず入ってくる作品。読まない理由がありません!

『おれは鉄兵』

とにかく主人公の鉄兵が魅力的な作品。剣道マンガではあるものの、初期は鉄兵の波乱万丈を描いていきます。そもそも、鉄兵は父親と財宝発掘に明け暮れているんですね。現実離れしているわけです。この親子、実は東京の金持ちの名家出身で、12年ぶりに鉄兵は連れ戻されます。そこから剣道部に所属することになり、そこでも高い身体能力と鋭い観察力で、メキメキ力をつけていきます。

スポーツのおもしろさも去ることながら、常識をぶち破る鉄兵の痛快さに目が離せないです!

『のらり松太郎』

松太郎は、人間の欲望まみれな人物で、それでもなぜか愛着を持って読めてしまうんですね。怠け癖がある問題児の松太郎は、巡業中の相撲取りと町で喧嘩になり、その怪力を見た親方たちがスカウトを受けて相撲の道へ。

2年の休載をはさみながらも、実に26年間も続いた連載作。するすると読めてしまう作品です!

『あした天気になあれ』

中学生時代にプロゴルファーを目指した向太陽が、そこから国内トーナメントや世界の競合が集う大会で活躍する姿を描いていきます。太陽がスイングするときの掛け声「チャー・シュー・メン」は、当時ものすごく流行りました。

太陽はなにごともあきらめないんですね。どれだけの窮地でも最後まで粘っていく。ワンショットごとの戦略や心理的描写が巧みで、読み応えもあります!

『少年よラケットを抱け』

元天才ボクサー・古賀大志がテニス部へ。男子テニス部再建を計画していき、とにかくがむしゃらに前へ進んでいきます。見どころはテニスのトレーニング場面。理論立てながらも、おもしろい発想が炸裂します!

ちばてつや作品解説本

ちばてつや作品についての解説本。ちばてつやの作家人生も興味深いエピソードばかりです!

『ちばてつや 漫画家生活55周年記念号』

ちばてつや本人の3万字インタビューをはじめ、とにかく豪華な仕上がり!大友克洋、福本伸行のインタビューでは、ちば作品がマンガの教科書ということがわかります。

藤子不二雄A、水島新司、さいとう・たかを、萩尾望都、本宮ひろ志、江口寿史、井上雄彦、弘兼憲史、あだち充、荒木飛呂彦、高橋留美子からの寄稿もあります。

作品解説も充実していて、ちばてつやを俯瞰的に知りたいなら読んでおきたい内容になっています!

『ちばてつやが語る「ちばてつや」』

ちばてつや本人がマンガ家人生を振り返ります。作品の裏側がわかるのは興奮するわけですが、作家としての生き方がすばらしい。

「私の頭のなかでは物語は終わっていないのだ。国松に鉄兵、松太郎も大志も現役で飛び回っている。これはもう漫画家の性と言うしかない。一度動き出したキャラクターの一人歩きは、作者の私がやめようとしてもやめられないのである。それがまた漫画家には、至福の喜びでもあるのだ」

マンガ家人生晩年だとしても、まだまだ創作に向き合っている。だからこそ、レジェンドだと言われるのだとわかります。