たかゆうの読書日記

本が好きです。読んだ本を中心に、映画・マンガ・テレビなどについても言及できればと思います。

是枝裕和監督のおすすめ映画ランキング11選!『怪物』『万引き家族』『海街diary』

是枝裕和監督の作品は、静謐ながら胸に迫るものが多くあります。社会問題を扱っていて、いまの現代に接続している感じがある。そして登場人物の実在感がすごいんですよね。だからこそ、鑑賞後もいつまでも余韻が残って、もう一度作品を見返したくなるんです。

是枝裕和監督の映画作品のなかで、個人的におすすめしたいものをランキング形式で紹介していきます!

1位『怪物』

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是枝裕和が監督を、坂元裕二が脚本を務めた異色作。最新作が1位!

序盤はへんなテンポの映画だなと思っていたら、まぁ仕掛けのある作品でした。起こった事象をだれもが自分の見え方で価値観で解釈し、イメージを増幅していく。何度も見返したくなる作品になっています。

2位『万引き家族』

第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを獲得した作品。

万引きをすることで生計を立てる家族の物語。家族といっても血がつながっているわけではなくて、祖母の家に、さまざまな事情を持っている男女や子どもたちが寄り添って暮らしているんですね。

テーマは重いのですが、貧しいながらも明るく暮らす家族の様子が描かれるのがいいんですよね。家族とは、血のつながりが大事なのか、それとも絆が大事なのか、という問いが投げかけられます。

リリー・フランキー(柴田治)、安藤サクラ(柴田信代)、城桧吏(柴田祥太)、松岡茉優(柴田亜紀)、樹木希林(柴田初枝)、佐々木みゆ(ゆり / 凛)らがキャスティングされています。

とくに安藤サクラがすばらしかった。ラスト、警察に捕まって凛が家に戻りたいと言っていたことを聞いたときの泣きの演技は心に響きました。「産んだらみんな母親になるの?」。子供を産めなかったこと、2人の子を思い出して、涙がこぼれる。「なんだろうね?」「なんだろうね?」と言いながら。この場面だけでも観る価値がある作品だと思います。

3位『海街diary』

4人の姉妹の物語。彼女たちはある出来事を機に一緒に暮らすことになります。とにかくこの姉妹が豪華。綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、この4人が映っていてやり取りしているだけで、見続けてしまう。それぞれキャラクター性ができているんですね。描かれるのは居場所がどこにあるのか、ということ。

「わたしここに居ていいのかな。仙台にいるときも山形にいるときもずっとそう思っていた。私がいるだけで傷ついている人がいる。それが時々苦しくなるんだよね」

四女のすずの言葉。小さいころにこんな感覚になっているなんてさみしい。大人が悪いのに、子供にしわ寄せがきている。それを3人の腹違いの姉が、受け入れるんですね。

風光明媚な鎌倉の街を舞台に、四季折々の美しい景色や街並みが描かれるのも大きな魅力になっています。

4位『そして父になる』

エリートな父親の息子のお受験場面。キャンプを行ったことがないのに、家族の仲の良さをアピールするため、息子はウソをつきます。そしてこの親子は血縁関係ではなかったことが明かされるんですね。出生時、病院でほかの子と取り違えられていたことを知るんです。

そこから、自分の子がいる家のもとへ。群馬で小さな電気店を営む父親のもとにいました。共に過ごした時間が大事なのか、血のつながりが大事なのか、父親とはどんな存在なのか、深く考えさせられる展開が待っています。

主演の福山雅治をはじめ、キャスト陣の演技が素晴らしく、彼らの感情や葛藤がリアルに描かれています。特に、福山雅治とリリー・フランキーの父親像の対比は見事!

5位『誰も知らない』

あるアパートに住む4人の兄弟と母親。彼らは父親が違う兄弟で、ともに助け合って生きているんです。

そして、母親のけい子は、家を空けることが増えていき、やがて帰ってこなくなります…。わずかなお金だけしかない子どもたちだけの生活が始まります。ですが、学校も行っていないので、誰もこの子どもたちの存在を知らないんですね。当然ながら、どんどん生活が立ちゆかなくなるなか、長男の明はなんとかしようとして…。

明を演じるのが柳楽優弥です。影のありながら芯の強い明を、見事に演じきっています。カンヌ国際映画祭で最優秀主演男優賞を獲得したのもうなずけます。

ラストも胸に残るものになっていて、是枝監督の重要作と言っていいでしょう。

6位『歩いても歩いても』

物語はある家族の2日間の話。ものすごく地味なのですが、じわりと家族の怖さを感じさせるんですね。15年前に息子ジュンペイを亡くした老夫婦。ジュンペイの弟である良多が、実家に戻ってきます。息子が命をかけて助けた男性を毎年呼び出して、静かな復讐を果たす。

「10年やそこらで忘れてもらっちゃ困るのよ。憎む相手がいないだけ余計こっちはツラい。年に一度くらいツラい思いをしてもらっても罰は当たらないでしょ。だから来年も再来年もきてもらう」

樹木希林のすごみ、ここにあり。阿部寛もいい演技を見せています。

7位『ベイビー・ブローカー』

韓国釜山のクリーニング店を営むサンヒョンには、捨てられた赤ちゃんを売買するという裏の顔がありました。

ある夜、赤ちゃんが置き去りになっていて、ベイビー・ブローカーのサンヒョンは、子どもがほしいという夫婦に売ることにするのですが…。赤ちゃん売買を取り締まる刑事に追われることになっていきます。

サンヒョンを演じるのはソン・ガンホ、ほかにもカン・ドンウォン、ペ・ドゥナといった韓国の人気俳優が出演しています。

ラストには思いもよらぬ展開が…。むせび泣きしてしまう作品です。

8位『三度目の殺人』

法廷サスペンスもの。真実に迫るのは二の次で、とにかく判決の勝敗にこだわる弁護士・重盛が主人公です。

解雇された工場の社長を殺した容疑で起訴された三隅。これは“二度目の殺人”なんですね。三隅は容疑を認めているのですが、担当する重盛は無期懲役に減刑できるように動きます。

事件の真相を追いながら、三隅が提示する情報に、どんどん混乱していきます。罪を犯しているのか、三隅はどんな人物なのか、靄が深く色濃くなっていくのです。

人は人を裁けるのか。物語を追っていくなかで、この問いが頭に浮かんでくる作品。三隅を演じた役所広司が、善悪を超越した存在に見えてきます。

9位『海よりもまだ深く』

小説家の良多はかつて一度だけ賞を受賞したことがある。いまは売れない小説家で、取材という名目で探偵事務所に務めています。別れた元妻と息子に未練たらたら。元妻には新たな恋人がいて、やきもきするするも、台風の夜、元妻と息子が、自分の母の家に泊まることになります。

こんなはずじゃなかった…。長い人生、こんな思いを抱くのは一度や二度ではないですよね。良多は虚勢をはって、今の自分を認められない存在。だからこそ共感してしまうのです。

「なりたかったものにみんながなれるわけじゃない」 「幸せってのは、何かを諦めないと手にできないもんなのよ」 「夢みた未来てどんなだっけな」 といった言葉がしみます。

地味ではあるものの、しっかり鑑賞したい作品です。

10位『空気人形』

韓国の女優ペ・ドゥナ主演。心持ってしまった人形の切ない恋物語、かと思いきやかなりサスペンスな展開が待っています。

「心をもつことは、切ないことでした」というキャッチコピーが本作を現しています。原作は、『自虐の詩』の業田良家による短編コミックです。

11位『奇跡』

両親が離婚してしまったことで、兄弟は離れ離れに…。鹿児島と福岡で、航一と龍之介はそれぞれ暮らしています。

九州新幹線が全線開業する日、新幹線がすれ違う瞬間にお願いをするとその願いが叶うという噂を、2人はそれぞれ耳にします。そして、兄弟は再会するために旅立ちを決意するのです。

子どもの演技の演出の巧みさが是枝監督のうまさですが、本作はそれを強く感じることができる作品。ぜひ子どもたちの冒険を目にしてほしいです!